労働災害(労災)の被害で怪我をした場合には、怪我を負わされたこと自体による精神的苦痛のほかにも、入通院によって身体的な自由が奪われ、治療や検査を受けることを強いられるなど、様々な精神的苦痛を被ることとなります。
傷害慰謝料とは、このような精神的苦痛に対し、金銭的に評価して賠償するものです。
このような精神的苦痛の内容や程度については、その事案ごとにケースバイケースであり、個別に金銭評価を行うことには困難を伴います。
そこで、実務上は、入通院の期間を基準として、傷害慰謝料の額が算出されるのが原則的な取り扱いとなります。
なお、他覚症状のないむち打ちや軽度の打撲・挫傷については、被害者の器質的な要因や年齢的な要因によって、入通院の期間が長引くことがあるため、傷害慰謝料の額がその他の傷病の7割程度として算出されます。
傷害慰謝料は、労災保険による填補が一切ありません。
会社側に使用者責任や安全配慮義務違反が成立する場合には、会社側に対して傷害慰謝料を含む損害賠償を請求することができます。