安全配慮義務の具体的な内容は、作業現場や作業環境によって異なるため、一律に定まるものではありません。
労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令には、事業主が講じるべき具体的な措置が規定されており、これらは当然に遵守されなければなりません。
安全配慮義務は、労働安全衛生関係法令を遵守するだけでなく、より広範囲の配慮をすることが必要であるとされています。
安全配慮義務としては、労働者の健康、人命の尊重の観点から、その時代にでき得る最高度の環境改善に努力することを要するのであり、労働安全衛生関係法令を遵守するだけでは足りません。
その内容は、過去の裁判例から、次のような分類ができます。
【設備・作業環境】
①施設、機械設備の安全化あるいは作業環境の改善対策を講ずる義務
②安全な機械設備、原材料を選択する義務
③機械等に安全装置を設置する義務
④労働者に保護具を使用させる義務
【人的措置】
①安全監視人等を配置する義務
②安全衛生教育訓練を徹底する義務
③労働災害の被害者、健康を害している者等に対して治療を受けさせ、適切な健康管理、労務軽減を行い、必要に応じ、配置換えをする義務
④危険有害業務には有資格者、特別教育修了者等の適任の者を担当させる義務