労災保険とは、労働災害(労災)の被害者またはご家族のために、必要な保険給付を行う制度のことを言います。
労災保険の正式名称は、「労働者災害補償保険」です。

労働者を雇用している事業主は、必ず労災保険に加入する義務があります。
また、雇用形態にかかわらず、すべての労働者が適用対象となります。
したがって、正社員はもちろん、契約社員(有期契約労働者)やパート・アルバイト、日雇いの従業員であっても、労災保険の申請をすることができます。

労災保険の給付を受けることは、労働災害の被害者救済のために必要不可欠なものです。
しかし、会社側が労災保険の申請を渋るという事例も、しばしば発生しています。
会社側が労災保険の申請に協力してくれない場合には、専門家である弁護士に今後の対応をご相談いただくのがよいでしょう。

労災保険の給付には、療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付、傷病(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)、介護(補償)給付、二次健康診断等給付の8種類があります。
ただし、これらの給付によって、被害者が被った休業損害(傷病等で仕事を休まざるを得なかったことによる収入の減少)や逸失利益(後遺障害・死亡によって減少・喪失した将来の収入)などの全ての損害が満額填補されるというわけではありません。

労災保険の給付を超える損害について補償を受けるためには、会社側に対して損害賠償を請求することとなります。
会社側に対する損害賠償請求が認められるためには、会社側に落ち度(不法行為、安全配慮義務違反)が認められることが必要です。
そして、会社側への損害賠償請求においては、会社側との示談交渉や裁判などの手続が必要ですので、まずは弁護士にご相談いただいた上で、対応をご判断されるのがよいでしょう。

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?
35 素因減額とは?
36 会社の労災上乗補償制度の給付を受けた場合には、労災保険の給付や会社に対する損害賠償請求に影響がありますか?
37 下請業者の労働者が元請業者の現場で作業中に労働災害に巻き込まれた場合、元請業者に対して損害賠償を請求することはできますか?
38 労働災害の被害に遭ったら、労災病院・労災指定病院に行くべきですか?
39 労働災害の発生から解決までの流れはどのようになりますか?
40 弁護士にはどのタイミングで相談するのがよいでしょうか?
41 自分に過失があった場合でも、労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?
42 他の従業員の過失で怪我をしたら、損害賠償請求はどうなりますか?
43 退職しないで労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?