フォークリフトによる労災事故について
フォークリフトによる労災事故は、毎年2000件前後と発生件数が多く、そのうち死亡事故の件数が30件前後となっています。
フォークリフトを使用した作業は、類型的に労災事故発生のリスクが高いものと理解されています。
そのため、労働安全衛生法・労働安全衛生規則により、労災事故の発生防止のための様々な規制が定められています。
フォークリフトに関する法規制
フォークリフトは、労働安全衛生規則において、車両系荷役運搬機械等の一種です(同規則151条の2)。
事業者は、フォークリフトを用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定めて関係労働者に周知させ、指揮者を置いて作業の指揮を行わせなければなりません(同規則151条の3および151条の4)。
また、事業者は、あらかじめ、適正な制限速度を定め、それにより作業を行わなければなりません(同規則151条の5)。
そして、転落等の防止、接触の防止、合図、立入禁止、荷の積載、運転位置から離れる場合の措置、車両の移送、搭乗の制限、主たる用途以外の使用の制限、修理等について、同規則151条の6ないし15に規定があり、これらを踏まえて作業計画の策定およびフォークリフトの使用を行わなければなりません。
さらに、フォークリフトの性能、装備、許容荷重、検査、点検、補修等について、同規則151条の16ないし26に規定があります。
フォークリフトによる労災事故の発生原因
フォークリフトに関する上記の法規制がきちんと遵守されていれば、労災事故が発生することはあまりありません。
しかし、労災事故は、作業計画が定められておらず、指揮者が置かれていないなど、作業が現場任せになっているような法令違反の現場で発生していることが多いです。
労働安全衛生法・労働安全衛生規則に違反する事実があり、その違反が労災事故の発生に繋がったと言い得る場合には、会社の損害賠償責任が認められる可能性が高いでしょう。
労災保険による補償
労災事故の被害に遭った場合には、労災保険による補償を受け取ることができます。
労災保険の給付としては、治療費(療養補償給付)、休業損害(休業補償給付)、後遺障害が残った場合の後遺障害逸失利益(障害補償給付)、介護が必要となった場合の介護費(介護保障給付)、死亡した場合の死亡逸失利益(遺族補償給付)、葬儀費用(葬祭給付)などがあります。
会社に対する損害賠償請求
労災事故の発生について、会社に安全配慮義務違反または使用者責任が成立する場合、会社に対して慰謝料・損害賠償を請求することが可能です。
損害賠償の一部は、労災保険によって填補されます。
しかし、慰謝料(精神的苦痛に対する損害賠償)は労災保険では一切補償がなく、十分な被害救済を受けるためには、会社に対する損害賠償請求を行うことが重要です。
労働安全衛生法・労働安全衛生規則に違反する事実があれば、会社の安全配慮義務違反が認められ、会社に対する損害賠償請求が可能なことが多いですので、労災事故に詳しい弁護士にまずはご相談いただくことをお勧めいたします。
弁護士にご相談ください
労災事故の被害についてお困りの方は、専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
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