労災保険における障害(後遺障害)とは

労働災害の被害に遭った場合、まずは怪我の完治を目指して治療に専念されると思います。
そして、治療の結果、無事に完治、あるいは、それにほぼ近い状態まで回復した場合のことを「治癒」といいます。
これに対し、怪我の内容や経過によっては、必ずしも治癒に至らず、残念ながら、治療を続けてもこれ以上回復が見込めなくなり、痛みや障害が残る場合があります。
このように、一定期間の治療を継続しても痛みや障害が残り、これ以上回復が見込めない状態となったことを「症状固定」といいます。

症状固定となった場合、その障害が一定程度重い場合には、障害等級が認められる場合があります(痛みや障害が残っている場合であっても、それが軽微だと判断された場合には等級に該当しない場合もあります)。
障害等級は、労災保険において判断基準が定められており、重い順に第1級から第14級までとされており、認定された場合の補償内容は等級ごとに異なります。

●労働災害と後遺障害等級

障害等級の認定手続の流れ

障害等級の認定は、申請→事故の調査→認定、という流れで行われます。

そのため、症状固定となった場合、まずは所轄の労働基準監督署に対して、障害等級認定の申請を行う必要があります。
申請にあたっては、①障害補償給付支給請求書・障害特別支給金支給申請書・障害特別年金支給申請書・障害特別一時金支給申請書(様式第10号)という書式を用いますが、これに加え、②診断書(障害(補償)等給付請求用)、及び、③レントゲン画像、MRI画像等の障害の状態を証明する画像資料を添付する必要があります。
①及び②については、書式は厚生労働省のホームページからダウンロードをすることができます。

このうち、①については、労災保険番号や被害状況を記載する必要がある上、その内容を会社に証明してもらうにあたり、会社の署名捺印が必要になります。
通常は、会社がこれに協力してくれるかと思いますが、会社によっては非協力的なところもあり、署名捺印をしてくれない場合があります。
このような場合には、申請するにあたって、労働基準監督署に対し、その旨を説明することで会社の署名捺印がなくとも申請を受け入れてくれることが多いです。

②については主治医に記入してもらいます。
また、③については怪我をしてから症状固定までに入通院した病院で撮影したすべての画像が必要になりますので、各病院から取得する必要があります。

申請が済んだら、労働基準監督署の担当者は提出された書類を踏まえ、被害者、会社、関係機関(病院など)から事情聴取を行います。
被害者に対しては、症状の内容や程度だけでなく、仕事や日常生活でどのような支障が生じているのかを直接面談する場合もあります。

そして、このような調査を経て、上述した判断基準に従い、障害等級が認定されます。
なお、不支給決定が出た場合や、等級に納得がいかない場合には、労災保険審査官に対して審査請求(不服の申立て)をすることができます。

障害等級認定を受けるための準備の重要性

このように、申請資料と聴取結果をもとに、障害等級の認定がなされることから、特に医師が作成した診断書が重要となります。
したがって、診断書の内容は実際の症状を正確に反映したものでなくてはなりません。

そのためには、申請する前に、労災事件に強い弁護士に一度ご相談いただくことをお勧めいたします。
労働災害に強い弁護士であれば、診断書に記載されている内容と、被害者の症状を確認することで、どのような障害等級が認定されるか見立てを伝えることができます。
逆に、診断書に記載されている内容と被害者が訴えている症状に違いがある場合には、主治医に対して、診断書の書き直しを説得することができます。

また、労働基準監督署の担当者からの聴取に関しても、自身の症状等を上手く口頭で説明できない方もいらっしゃると思いますので、聴取にあたっての事前準備や書面で回答する際のサポートをすることができます。

当事務所にご相談ください

当事務所では、障害等級認定の申請から、会社に対する損害賠償請求までワンストップで対応しております。
労働災害の被害に遭われた方は、一度、当事務所へご相談いただければと存じます。

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