建設業における労働災害
建設業は、労働災害(労災)の発生件数が非常に多い業種です。
建設業における労働災害は、建設工事現場、資材置き場、自社作業場など、様々な場所で発生しています。
建設業では、クレーンやショベル、ブルドーザーなどの重機、重量の大きな建設資材、高所での作業、屋内や坑内での作業など、危険要素が多々あります。
事故類型としては、高所作業中などの墜落・転落事故、重機などに激突される事故や挟まれ事故・巻き込まれ事故、クレーンの吊り荷に激突される事故や玉掛け作業中などに手や指を切る事故、落下物に当たる事故、有毒ガスの吸引による中毒事故、土砂などの崩壊事故や構造物・重機などの倒壊事故、その他、様々な事故が発生しています。
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●建設業における墜落・転落事故
労災申請について
労働災害が発生した場合には、会社は労働基準監督署に報告する義務があります。
一方で、建設業においては、元請・下請の複数・複雑な取引関係が取られることが多く、労災保険については、下請の労働者に労働災害が発生した場合でも、元請の労災保険が適用されます。
下請の労働者に発生した労働災害について、下請の会社が元請との関係悪化を恐れて、労災申請を渋る実態も存在します。
また、そもそも、労災保険の適用を受けることで、会社には、労働基準監督署の調査・監督を受け、保険料を増額されるなどのデメリットがあります。
そこで、会社としては、労災保険の適用を回避したいという心理があります。
そのため、会社が労災申請をしないように言ってくるとか、労災申請の事業主証明欄の証明を拒否してくるなどの事態が発生することもあります。
このような場合には、会社に対して「労災かくし」が違法行為であることを警告し、労災申請への協力を強く要求していくことが考えられます。
一方で、労災申請は、必ずしも会社にやってもらう必要があるわけではありません。
労働基準監督署に対し、会社が証明をしてくれなかった事情等を記載した文書を添付して、被害者側で労災申請の手続を行うことができます。
もっとも、これらの対応を被害者側がご自身で行うことには、多くの手間と時間や精神的な負担が伴うものです。
労災申請に関してお困りの場合には、弁護士のサポートのもとに対応されることをお勧めいたします。
お早めに弁護士にご相談ください。
慰謝料・損害賠償の請求について
労働災害の被害に遭われた場合には、労災保険の補償を受けることができます。
しかし、労災保険は、被害者が被った損害のすべてを補償してくれるわけではありません。
被害者が被った損害のうち、特に大きな比重を占めるのは慰謝料と逸失利益(後遺障害が残った場合や死亡事故の場合)となります。
労災保険では、治療費は全額補償を受けることができるのですが、慰謝料はまったく補償されませんし、逸失利益もごく一部の補償にとどまります。
その他、休業損害などの損害も全額補償には足りません。
建設業における労働災害では、後遺障害や死亡事故など重大な事故となることが多いため、被害者が実際に被った損害と労災保険の補償額との差が、相当高額となるケースが少なくありません。
そこで、被害者が被った損害に対して十分な補償を受けるためには、会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求していくことになります。
会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求できるのは、会社側に安全配慮義務違反などの過失がある場合です。
しかし、会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求できる事案であるにもかかわらず、労災保険の給付だけで終わらせてしまっているケースも少なくないのが実情です。
慰謝料などの損害賠償は、被害者側の今後の生活を支える大事な補償ですので、簡単に労災保険の給付だけで済ませてはいけません。
この点、会社側の態度として、労働災害の被害に遭ったのは被害者の不注意が原因であるとして、会社側の責任を否認したり、賠償額の大幅な減額を主張したりしてくる例も散見されます。
しかし、労働災害が発生した場合には、少なからず会社側の過失が寄与しているのが通常です。
弁護士のサポートのもとに適切な主張・立証を重ねることで、慰謝料などの損害賠償を獲得できる可能性は十分にあります。
会社側の言い分に惑わされることなく、まずは弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
弁護士にご相談ください
以上のように、労働災害の被害に遭われた場合には、労災申請の手続、慰謝料などの損害賠償の請求という問題が出てきます。
これらの問題については、まずは労働災害に精通した弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
弁護士にご依頼いただくことで、被害者側の代理人として、労災申請の手続、会社側との示談交渉・訴訟などの複雑な問題を、適正な解決に導くことが可能となります。
当事務所の弁護士は、これまでに、労働災害の被害に関するご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。
労働災害の被害に遭われてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。