使用者責任とは、他の従業員の不注意で労働災害(労災)の被害に遭った場合に、加害者となった従業員の雇用主である会社が、慰謝料・損害賠償の責任を負うことを言います。
他の従業員の不注意で労働災害が発生した場合、加害者となった従業員は、被害者が被った損害を賠償する責任を負います。
これを不法行為責任(民法709条)と言います。
不法行為責任が成立するためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
【不法行為責任の要件】
①加害者に故意または過失が存在すること
②被害者の権利を侵害したこと
③被害者に損害が発生したこと
④加害者の行為と被害者の損害との間に因果関係が存在すること
そして、使用者責任(民法715条)が成立する場合には、加害者となった従業員の雇用主である会社に対し、損害賠償を請求することが可能です。
使用者責任が成立するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
【使用者責任の要件】
①加害者と会社との間に使用・被用の関係が存在すること
②被用者の行為について不法行為責任が成立すること
③被害者の損害が会社の事業の執行について加えられたものであること
他の従業員の不注意で労働災害が発生した場合には、上記の使用者責任の要件を満たすのが通常です。
したがって、労働災害の被害者は、会社に対し、慰謝料・損害賠償を請求できるのが通常です。