相談風景1

労働災害(労災)の被害に遭った場合に受けられる補償としては、①国から一定の補償が受けられる労災保険の給付と、②会社側に落ち度がある場合に労災保険の給付を超える損害の回復を図る民事上の損害賠償請求による補償があります。

労災保険の給付では、療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付、傷病(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)、介護(補償)給付、二次健康診断等給付の8種類の給付があります。
労災保険の申請をし、給付を受けることは、労働災害の被害者救済のために必須のものとなります。
しかし、会社側が労災保険の申請に非協力的であるという事例も存在します。
もし会社側が労災保険の申請を渋るようであれば、お早めに弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

労災保険の給付については、会社側に落ち度がなくても補償が受けられますが、休業(補償)給付は平均賃金の80%(休業特別支給金を含む)までしか補償されませんし、精神的損害に対する慰謝料は全く補償されません。
また、労働災害によって後遺障害や死亡などの重篤な結果が発生した場合、被害者には逸失利益(将来的に得られたであろう収入の減少・喪失)や介護費用、葬儀費用など、重大な損害が及ぶこととなりますが、労災保険の障害(補償)給付や遺族(補償)給付などでは全額には到底足りません。

労災保険の給付を超える被害者の全ての損害について補償を受けるためには、会社側に対して民事上の損害賠償請求による補償を求めることとなります。
もっとも、この損害賠償請求が認められるためには、会社側に落ち度(不法行為、安全配慮義務違反)があることが必要となります。
また、会社側への損害賠償請求を行うのであれば、会社側との示談交渉や裁判などの手続が必要となりますので、専門家である弁護士にご相談いただいたうえで対応を検討されることをお勧めいたします。

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?
35 素因減額とは?
36 会社の労災上乗補償制度の給付を受けた場合には、労災保険の給付や会社に対する損害賠償請求に影響がありますか?
37 下請業者の労働者が元請業者の現場で作業中に労働災害に巻き込まれた場合、元請業者に対して損害賠償を請求することはできますか?
38 労働災害の被害に遭ったら、労災病院・労災指定病院に行くべきですか?
39 労働災害の発生から解決までの流れはどのようになりますか?
40 弁護士にはどのタイミングで相談するのがよいでしょうか?
41 自分に過失があった場合でも、労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?
42 他の従業員の過失で怪我をしたら、損害賠償請求はどうなりますか?
43 退職しないで労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?